【保存版】オウンドメディアの収益化(マネタイズ)の考え方・手法・事例
オウンドメディアを収益化するために何をすればよいのか知りたい方は多いのではないでしょうか。
オウンドメディアとひとくちに言っても様々な型があるため、収益貢献の形も多様です。
そこで、この記事ではオウンドメディアでマネタイズするための考え方・手法・事例をメディアのタイプ別に解説していきます。
目次
オウンドメディアの3つのモデル
オウンドメディアは「自社で所有・運用するメディアサイト」と一般的に言われますが、収益化を実現するためにはもう少し粒度を上げて捉える必要があります。
ここでは3つのモデルに分けて考えていきましょう。
- ブランディング型
- 事業貢献型
- 直接利益型
以下で、それぞれの定義とマネタイズ手法を解説します。
ブランディング型オウンドメディアの収益化
1つ目は、ブランディング型のオウンドメディアです。これは、会社のブランド形成を目的に運営されるタイプのメディアです。
ダイレクトに何か売るためのメディアではないので、収益の考え方も、直接的な金銭的利益ではなく、間接的・長期的な貢献性で考える必要があります。
ブランドリフト
ブランドリフトは、後で述べるサーチリフトと並んで基本的に広告の分野で使われる概念です。意味は、「広告への接触によって、ブランドに対する認知度や好意度に良い影響が出ること」です
認知度が高まると「○○といえばあの企業、あの商品」という想起が生まれます。また、好意度が上がると、競合と比較された際に選ばれやすくなったり、そもそも比較されずに決めてもらえたりする見込みが上がります。
このような状態を実現することができれば、多額の販促費をかけずとも事業の売上が立ちやすくなります。つまり、ブランドリフトによって長期的に収益性が向上すると言えるでしょう。
このような考え方を、広告だけでなくオウンドメディアにも当てはめることで、ブランドリフト=(長期的・間接的な)収益化と捉えることができます。
具体的にオウンドメディアでブランドリフトを実現するためには、社内に豊富なノウハウがあることが伝わるコンテンツを作成していくことが有効です。
例えば、株式会社ベイジはオウンドメディアに様々なコンテンツをアップしており、中にはベイジのweb制作ワークフロー2018(140のタスクと解説)のように社内のノウハウをかなり詳細に解説した記事もあります。
baigie
このような記事がSNSでのシェアなども通じて広まることで、「ベイジという会社はしっかりノウハウを持っていて実力が確かな会社なんだな」という認識(ブランドへの認知度・好意度の向上)が形成されます。
サーチリフト
サーチリフトもブランドリフトと同じく一般的には広告の概念で、「広告への接触によって、企業名やサービス名の検索ボリュームが増えること」を指します。
企業名やサービス名のような指名検索を行うユーザーは、すでにそれらを認知しており、かつ興味を持っているからこそ検索しているので、その後の成約に結びつく見込みが高いです。
この考え方をオウンドメディアに当てはめて、指名検索の増加を収益への貢献の中間指標と捉えることができます。
Google Trendsを使い、オウンドメディアの運用状況と検索ボリュームの推移との相関性を判断しましょう。
Google Trends
事業貢献型オウンドメディアの収益化
2つ目の型が、事業貢献型のオウンドメディアです。つまり、「事業への集客や見込み顧客の獲得などを行うための手段としてメディアを活用する」ケースです。
企業のオウンドメディア施策としてもっともポピュラーな型です。以下で代表的な収益化モデルを2つ紹介します。
リード獲得
リード(Lead)とは見込み顧客を指す用語です。例えば、下記などの行動に至ったユーザーが該当します。
- 無料メルマガ登録
- 資料請求・資料ダウンロード
- お問い合わせ
- 無料セミナー予約
これらの行動が発生しても、まだ金銭的な収益には結びついていません。しかし、自社に興味を持ってくれており、しかもそれが具体的な行動にまで表れている状態ですので、顧客化まであと一歩といったところです。
このような見込み顧客のリストを形成し、そのリストに対して営業をかければ、自社に全く接点のない企業に片っ端からテレアポ・飛び込み営業をするような場合と比べて、成約率が格段に上がります。
このリードの獲得のために有効な手法として、オウンドメディアが活用できるのです。
具体的には、想定しているターゲットが興味を持っていそうなことや調べそうなことを洗い出し、それに応えるコンテンツを作成していきます。そうすることで、オウンドメディアがGoogleやYahoo!などの検索面に表示されるようになり、そこを経由してサイトに流入するユーザーが増えていきます。
ターゲットの想定が正しければ、メディアへ流入したユーザーの中の一定割合が無料メルマガに登録したり資料をダウンロードしたりして、リード化します。
有効なリードを獲得できれば営業効率が良くなり、その事業の収益性が向上します。
顧客獲得
リードは確定顧客の一歩手前の存在でしたが、オウンドメディアの中で顧客化まで持っていくモデルもあります。
例えば、セルフサービス型の有料ツールのアカウント発行などは、対面での商談の末に契約が成立するのではなく、オンラインで必要事項をフォーム送信することで、手続きが完結します。
貢献対象の事業がこのようなモデルの場合は、オウンドメディアによる収益発生も直接的です。つまり、リード獲得型の場合と同じくユーザー心理に応えるコンテンツを作ることでユーザーとの接点を増やし、その中の一定数がアカウント発行に至れば、その時点で金銭的な収益が発生します。
直接利益型オウンドメディアの収益化
3つ目の型が、直接利益型のオウンドメディアです。つまり、「メディア自体が事業で、メディアから直接的に収益が発生している」というケースです。
メディアのグロースがそのまま収益に結びつくことになり、マネタイズ手法も多様です。
以下で、代表的な手法を4つ解説します。
アドネットワーク
アドネットワークとは「膨大な数のWebサイトをまとめ上げ、広告配信が可能な媒体としてネットワーク化する仕組み」のことです。
例えば「旅行に興味がある人に広告を出したい」と思った時は、旅行関連のサイトひとつひとつを掲載面として指定するのではなく、それらのWebサイトをネットワークの中に持っているアドネットワークに入稿すれば、自動的にたくさんの旅行関連のWebサイトに配信することができます。
逆の視点で言えば、このアドネットワークの中にあなたのオウンドメディアを登録することで、そのメディアのテーマで広告を出したい広告主がアドネットワークに入稿した時、あなたのメディアに広告が配信されるようになります。
この広告が、表示されたり(インプレッション課金)、クリックされたり(クリック課金)することで、あなたのオウンドメディアに収益が発生します。
アドネットワークによる収益化の利点は、アルゴリズムによってサイト訪問者が興味を持つであろう内容の広告が自動最適化されて配信されることです。
ユーザーが全く興味を持たない広告がメディアはあふれてしまうと、メディアの品質そのものが落ちてしまいますが、その心配が、アドネットワークを利用することでほとんどなくなるのです。
代表的なアドネットワークはGoogle AdSenseです。
Google AdSense
Googleによるアドネットワークで、配信ロジックが非常に高精度であるため、オウンドメディアに質の高い(=ユーザーが興味を持つ可能性が高い)広告を掲載することができます。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は「成果報酬型広告」とも呼ばれ、広告経由で実際に購入・申し込み・予約・インストールなどのコンバージョンが発生してはじめて収益が発生します。
一見すると表示(インプレッション)だけで収益化できるアドネットワークよりもマネタイズまでの距離が遠く割に合わないと思うかもしれませんが、利点はあります。
それは、自分が「これなら売れる」と思う特定の商材に絞って広告を掲載できる点です。
前述のアドネットワークの場合、自動的にユーザーが興味を持つであろう広告を掲載することができますが、「この広告を出したい」というピンポイントの表示はできません。
その点、アフィリエイトなら、自分が実際に使ったことのある商材や強い興味を持つ商材の広告を選択して、その商材を売るための記事を書いていくことが可能です。
また、商材によっては収益の単価が数万円になる場合もあり、自分が売り込める商材が高単価である場合は挑戦する価値があるでしょう。
アフィリエイト広告を掲載するためには、ASP(Affiliate Service Provider)に登録する必要があります。ASPとは、アフィリエイトの広告主とアフィリエイターのマッチングを行う業者ならびにそのサービスのことです
代表的なASPはA8.netやバリューコマースなどがあります。アプリ系ならseedAppも定番です。
A8.net
タイアップ広告
タイアップ広告とは、広告主である企業と直接契約を行い、記事広告やバナーを掲載することです。
例えば記事広告であれば、オウンドメディアの運営社が広告主にインタビューをしたり商材を使って見たりして、読者に広告主の魅力が伝わるような記事を作成します。この記事を、月額費用などを受けつつオウンドメディアに掲載する方式です。
こういった、広告の「掲載枠」に対して広告主がお金を払うタイプを「純広告」と言います。タイアップ広告は基本的に純広告です。
利点としては、アドネットワークやアフィリエイトと違い、「掲載すること」そのものによって収益が発生するため、閲覧数やクリック数、コンバージョン数に関係なく、固定費として収益を得られます。
とはいえ、タイアップを組むには「確かなインプレッションやそこからの成果が見込める媒体」だと広告主から評価されることが前提になるため、ハードルは高めの手法です。また、契約を得るために営業も必要になります。
ユーザー課金
広告収入ではなく、ユーザーからの直接でマネタイズするモデルです。
例えば、オウンドメディアの中の一部の機能や情報を非公開にして、有料会員にのみオープンにするような仕組みが考えられます。
広告の場合は、メディアはあくまで他の商品を売るための媒体ですが、ユーザーからの直接課金の場合は、いわばユーザーがメディアそのもののファンになってくれているような状態ですので、収益の源泉としても強固です。
オウンドメディアの成功事例
オウンドメディアの3つのモデルに沿ってマネタイズの考え方や具体的な手法について解説してきました。
ここからは、各モデルで見本となるような成功事例を紹介します。
ブランディング型
サイボウズ式:サイボウズ株式会社が運営するオウンドメディアです。チームワークや多様な働き方など、会社として大切にしていることをインタビューやコラムなどの形式で発信しています。そうすることでサイボウズというブランドが市場に染み渡り、人材の採用(=カルチャーに合う人が集まってくれる)やプロダクトの販売(=「サイボウズのファン」が形成されることが結果的にプロダクトの認知や導入の意思決定に貢献する)まで広く事業に貢献していることが伺えます。
事業貢献型
静電気ドクター:株式会社キーエンスが運営するオウンドメディアです。静電気や除電器について解説するコンテンツで流入させたターゲットユーザーを資料請求やお問い合わせに誘導し、キーエンスの製品の導入へと繋げるタイプのリード獲得型メディアです。
直接利益型
サルワカ:主にWebデザインと暮らしに役立つ情報を展開しており、とにかくわかりやすさにこだわった文章とビジュアルが特長のメディアです。Google Adsenseの設置とアフィリエイト広告への誘導で収益化するモデルであることが伺えます。
直接利益型と事業貢献型のハイブリッド
ferret:株式会社ベーシックが運営するオウンドメディアです。マーケティングについてあらゆる範囲を網羅する、日本最大級のマーケティングメディアです。
収益構造としては、様々なお役立ち資料のダウンロードをフックにしたリード獲得のモデルと、記事広告の掲載によりメディアそのものから直接売り上げを生み出すモデルのハイブリッド型であることが伺えます。
オウンドメディアの収益化のまとめ
オウンドメディアを3つの型に沿って分類し、それぞれのマネタイズの考え方・手法を解説しました。
この内の、「事業貢献型」のメディアでは、資料ダウンロードやお問い合わせ、アカウント発行などのコンバージョン率を高めることが収益化を図る上で重要です。
そして、コンバージョン率を高めるためには、オウンドメディアで展開しているコンテンツからサービスページやフォームなどへの導線を最適化することが必要です。
このような導線について、CAO(カオ)を使うことで最適なボタンやポップアップの実装、そしてA/Bテストが誰でも簡単に行えます。
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